● あなたも電気屋さんになれるよ〜
電気製品のちょっとした修理や取り付けは、知っている人には何でも無い事ですが、案外「パソコンはさわれるが、コンセントの修理は出来ないよ」と言う人は多いかもしれません。このコーナーはそういった方のためですよ。でも、できたら町の電気屋さんにお願いして電気屋さんを儲けさせてあげましょう。(^―^)
エアコン洗浄スプレーを使ってみました。
最近スーパ−などの店頭で「これ一吹きでエアコンが奇麗になる」との宣伝でエアコン洗浄スプレー なるものが売られています。お客様宅に行ってもこのスプレーが置かれているのを時々目にします。ホントに一吹きで奇麗になるものでしょうか?
電気屋さんが実際に使ってみました。 その報告です。
スーパーで2,3種類が売られてましたが、その中で比較的よく売れていそうな某製薬メーカーの製品を買ってきました(右写真、数百円でした)。おまけとして掃除用のへらが付いていました。 良く見ると他のメーカーの製品にもおまけにブラシやハケが付いてました。 この業界も過当競争なんでしょうかね。
☆ 説明書きを良く読もう
何事も始める前には使い方、注意事項等をよく読みましょう。
このスプレーには一般的な注意事項の他に可燃性のガスを使用しているため火気厳禁とありました。 スプレーした時に機器の奥まで届くようにガス圧の高いLPガスを使用しているようです。 くれぐれもタバコを吸いながらの作業は危険ですぞ。
使用方法(製品に記載されているのを列記します)
- 電源スイッチを切りコンセントからプラグを抜く
- ビニールシートなどを敷き窓を開け換気をよくする。
- カバーを開け(外す)フィルターを取り外す。
- ボンベの青色のボタンを折り取る。
- ボンベを縦によく振る。
- 約5cm離して冷却フィンの向きに沿ってスプレーします。
スプレー後約5分が洗浄終了の目安です。
- 洗浄後外の排水ホースから洗浄液がでます。(出ない場合もあります)
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☆ 実際に使ってみましょう
まずエアコンのカバーを開けフィルターを取り外す。
さてここで早くも困る人が いると思う。最近のエアコンは、カバーが跳ね上げ式で簡単には
フイルターをはずして中の冷却器(フィン)が見れるが、ちょっと前の機種はカバーはねじで本体に取り付けてある。
これがまたメーカー や機種によっては簡単に外れない。説明書を見たって素人がカバーをはずす事を想定していないので書いていない 。
我々電気屋さんにとっても外しにくいものが多いのです。
さあ、ここで自信の 無い人はあきらめて電気屋さんにエアコンクリーニングをお願いして下さい。(^―^)
ネジをはずしてでもやって見る!と言う人はネジ回しを持ってきて下さい。
本体の下部分にカバー止めネジが2,3本あります。ひょっとしたらネジ頭を隠すためネジカバーがついているかも知れません。
ちいさなマイナスねじ回しでネジカバーをはずしてください。
止めネジをはずしたらカバー下部を手前に引きながらはずして下さい。上部は引掛けになってるので上方向に持ち上げると外れやすいかも。
先に言ったようにこのへんが難しいかもしれません。
跳ね上げ式の場合でも出来たらこのようにカバーをはずして下さい。より奇麗にできますよ。
カバーがはずれたら冷却器を見て下さい。結構ほこりが付いていると思います。 写真は5年ほど使ったエアコンです。ほこりがこびりついてます。 掃除機でほこりを取ってください。ハケや古い歯ブラシを利用すると良いでしょう。 その時には冷却器(フィン)の目に沿って(縦に)ブラッシングして下さい。
横方向にブラッシングすると柔らかいアルミのフィンをつぶして目詰まりしてしまいます。
さて、ここで洗浄スプレーの登場です。
その前に冷却器の右側にある電子部品回路に誤ってスプレーしないようにタオルなどで覆って下さい。
冷却器から5センチほど離して上下にゆくりと冷却器全面にスプレーしてください。スプレー1缶使い切って下さいね。
これで5〜10分すれば汚れが落ちて出来上がりです。その間にはずしたカバーや目についたほこりを掃除機で掃除して下さい。
カバーに電気部品が付いてなければ水洗いしてもいいいでしょう。
スプレーの説明書の通りに作業して見ました。(もっとも、説明には掃除機で掃除せよとは書いてませんでしたが、、)
さて、奇麗になったでしょうか?
う〜ん、、ちょっと違うぞ!。テレビの宣伝の使用後の写真のようにピカピカにはなっていない。
掃除機で取り残したゴミも少しふやけた程度でそのままだし、黒ずんだフィンの色もそう変わらない。
掃除機で掃除したから奇麗になっただけのようだ。
どうなんでしょうか、洗浄スプレーはこのへんまでが限界でしょうか?。
取り敢えずカバーを取り付けて出来上がりです。
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☆ 電気屋さん目から見ての検証です。
この洗浄スプレーの成分を見てみると(右写真)界面活性剤 0.3%、安定剤(エタノール)、
抗菌剤となっていますがごく普通の洗剤のようですね。普通の洗剤に抗菌剤を配合して圧力の高いボンベに詰めているだけのようです。
まあ、隙間の多い冷却器の洗浄にはある程度の効果があるのかも。アルコールや抗菌剤でしばらくの間カビの発生も 防げそうですね。
エアコンの不快な臭いやゴミが付くのは冷却器だけではありません。
左図が大まかなエアコンの構造ですが、フィルター、冷却器、ケース、
それに 送風ファン其々にゴミ汚れが付きそれにカビ等が発生していやな臭いがでます。
今、洗浄したのは冷却器だけですね。その奥の送風ファンやケースに付いた汚れはそのままです。
これを奇麗にしないとホントの洗浄じゃないですよね。
実際にエアコンを分解してみると写真ように結構ほこりが詰まってました。これにカビが発生して部屋中に撒き散らしていると思うと・・・恐ろしい気がします。
意外だったのが冷却器裏面は汚れが少なく奇麗でした。
この汚れた送風ファンなどの掃除はどうしたらいいでしょうか。
電気屋さんにお願いしてエアコンクリーニングをしてもらうのが一番ですが、
素人の方には細い刷毛と掃除機を併用して気長に掃除して頂くほかないでしょう。
吹き出しグリル(風向調節板の付いた部分)が簡単に外れたらやり易いでしょうが、これもなかなかはずしにくいようです。
[結果]
テレビで宣伝してるように洗浄スプレ一吹きでエアコンがピカピカになる事はないようです。
洗浄スプレーの使用にはまだまだ問題があり、洗浄で落ちたホコリがドレンに詰まって室内に水漏れしたとか、
特殊な薬品が入っている洗浄スプレーでエアコンの樹脂部分に影響を与えたとかの話を聞きます。
でもスプレーメーカーの肩を持つなら購入後数年以内であまりホコリが付いていない、
又は本格的にエアコンクリーニングして数年以内のもので臭いが気になると言う時とか、
カバーをはずして掃除機で徹底的に掃除してその後の仕上げにスプレーすると言うような時、
このような使い方ならそれなりの効果があると思います。
エアコンのシーズン始めに、又はシーズン中時々に消臭剤のつもりでふりかけると言うような物でしょう。
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☆ 町の電気屋さんのエアコンクリーニング
町の電気屋さんのエアコンクリーニングはどんな事をしているのでしょうか。当店の場合を簡単に紹介します。
- 最初、お客様宅に行ってエアコンの使用状態をお聞きします。故障しているエアコンはクリーニングでは直りません。
室外機もその時点検します。問題なければクリーニングに取り掛かります。
- まずエアコンの設置してある床に防水シートを敷きます。壁や天井にもシートを張りつけます。
水漏れやポンプ使用時誤って汚さないようにです。
- フィルター、カバーをとりはずします。吹き出しグリルドレンパン(水受け)もはずしてしまいます。
このへんがメーカーや機種によてマチマチなので難しいところです。
- 本体に水受けのシートを設置し、排水ホースを外部またはバケツに誘引して水処理を行います。
- 電気部品部分をシートで保護します。
- あらかじめ小分けしているフィン洗浄液をスプレーで冷却器に充分に吹きつけます。
送風ファンにも専用洗浄液を吹き付けます。まんべんなく行き渡るようにファンを少しずつ回転させながら行います。
ケースの奥、フィンの裏側にも洗浄液を吹き付けます。
- 薬剤効果を上げるため15分ほどそのままにしておきます。その間はずしたフィルターやカバー、吹き出しグリルなど
風呂場などお借りして洗います。
- 洗浄液を洗い流すため専用ポンプで水を吹き付けて洗い流します。約10リットルの水をつかいます。
これを充分にするほど奇麗になります。そのほかの汚れを掃除して組み立てます。
- ドレンの流れを点検します。場合によってはドレン吸引器でドレン内部のゴミをとります。
- 吹き出しグリル、カバーなど組み立てて電源を入れ試運転です。最初は暖房にして内部を 乾かします。
記事・2005/02